交叉咬合の原因と症状ってどんなものがあるの?
投稿日:2026年8月30日
カテゴリ:スタッフブログ
噛み合わせが左右で違う気がしたり、下の歯が一部だけ上の歯より外側に出ている、こういった噛み合わせは「交叉咬合(こうさこうごう)」と呼ばれる噛み合わせです。
交叉咬合は、上下の歯が本来の位置関係とは反対に噛み合っている状態を指します。特に成長期のお子さまの場合、早い段階で交叉咬合に気づき、適切なタイミングで診査診断、必要なら治療を受けることが大切です。
今回は、交叉咬合とはどのような状態なのか、原因や症状、放置することで考えられる影響、治療方法についてお話しようと思います。

交叉咬合とは?
交叉咬合とは、上下の歯を噛み合わせたときに、通常とは反対の位置関係で噛み合っている部分がある状態です。
一般的な噛み合わせでは、上の歯が下の歯よりも外側に位置しています。しかし交叉咬合では、一部または複数の歯について、下の歯が上の歯よりも外側に出ている状態が見られます。それらは、歯の傾きだけが原因の場合もあれば、上顎・下顎の骨格的な問題が関係している場合もあります。
そのため、見た目だけで判断するのではなく、歯並びや顎の状態を含めて確認することが重要です。
主な原因
1.顎の成長バランスが崩れている
交叉咬合の原因のひとつが、上顎と下顎の成長バランスです。
例えば、上顎の横幅が狭い場合、上の歯列が下の歯列よりも内側に位置してしまい、奥歯の一部が交叉して噛み合うことがあります。また、下顎の成長方向や骨格的な特徴が関係しているケースもあります。特に成長期のお子さまでは、顎の成長に伴って噛み合わせが変化することがあるため、早めに状態を確認しておくことが大切です。
2.歯の生える位置や傾き
顎の大きさや位置関係に大きな問題がなくても、歯が生える方向や位置によって交叉咬合が起こることがあります。例えば、上の奥歯が内側に傾いていたり、下の歯が外側に傾いていたりすると、上下の歯の位置関係が逆になってしまうわけです。
このような場合には、矯正治療によって歯の位置や向きを整えることで改善を目指せるケースがあります。
3.口腔習癖
成長期の口腔習癖も歯並びに影響することがあります。
例えば、
・ 頬杖をつく
・ 片側ばかりで噛む
・ 口呼吸が習慣になっていて舌の位置が下顎寄りになりがち
などが挙げられます。
ただし、これらの習慣が必ず交叉咬合を引き起こすわけではなく、それら含めた他の複数の要因が重なって生じるものと考える必要があります。
4.乳歯の早期喪失
乳歯はその後に生えてくる永久歯が生えるためのスペースを維持する役割があります。
虫歯などによって乳歯を早期に失うと、周囲の歯が移動してしまい、永久歯の生える位置や噛み合わせに影響を及ぼすようになります。その結果、交叉咬合につながる場合があります。
5.遺伝的・骨格的な要因
顎の大きさや形・歯の大きさなどには遺伝的な要素も関係します。
家族に似たような噛み合わせの特徴がある場合、お子さまにも同様の傾向が見られることがあります。ただし、歯並びは遺伝だけで決まるものではなく、発育環境や口腔習癖の有無などさまざまな要因が関係しています。(余談ですが、顎の発育や大きさは遺伝より発育環境要因のほうが影響が大きいとされています)
交叉咬合にはどのような症状がある?
交叉咬合は、本人が自覚しにくいケースもあります。特に奥歯の一部だけが交叉している場合、「歯並びが少し気になる」程度で、気づかないこともあります。
代表的な症状を以下に挙げてみます
・噛み合わせが左右非対称になる
交叉咬合では、左右の歯が均等に噛み合わないことがあります。そのため、片側の歯ばかり使っていると感じることがあります。
・顎が左右どちらかにずれて見える
交叉咬合の程度や噛み合わせ方によっては、噛み合わせたときに下顎が左右どちらかへずれることがあります。
特に成長期のお子さまでこういったことが生じると、顎の成長発育にも悪影響を及ぼします。ただし、顔の左右差には骨格や筋肉などさまざまな要因があるため、必ずしも交叉咬合だけが原因とは限りません。
・噛みにくい・食べ物をすりつぶしにくい
交叉咬合が生じていると、食べ物を噛みにくくなる場合があります。それにより、代償的に片側だけで噛むようになったり特定の歯に負担が集中したりすることもあり、顎のトラブルを併発する可能性があります。
放置するリスク
「痛みがないし、特に今は困っていないからそのままでいい」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、交叉咬合は症状や原因によっては、放置することで取り返しがつかないほど問題が大きくなる可能性があります。
・左右差
一部分だけ交叉している状態が続くと、噛みやすい側に顎を動かす癖がつくことがあります。その結果、左右の噛み合わせや発育への影響だけでなく顔貌のバランスが崩れる可能性があります。
・顎関節への負担
顎の動きに左右差が生じ、顎関節や咀嚼筋の負担が偏ってかかることで顎の痛みや開閉時の違和感などにつながる場合があります。交叉咬合があるから必ず顎関節症になるというわけではありませんが、リスクは高いと言えるでしょう。
・歯磨きが難しくなる
歯の位置が大きくずれている場合、歯ブラシが届きにくい部分ができ、セルフケアによる管理が不可能な部位が口腔内に出来てしまうことがあります。いわゆる磨き残しが増えることで、虫歯や歯周病のリスクにつながります。
子どもの交叉咬合は早めに相談することが大切
先述しましたが、お子さまに交叉咬合が見られる場合はできるだけ早めに歯科医院で確認することをおすすめします。成長期は顎の骨が成長しているため、成長を利用した治療が検討できる場合があります。
特に、
・ 噛むと顎が左右どちらかにずれる
・ 前歯や奥歯の一部が反対に噛み合っている
・ 顔の左右差が気になる
・ いつも同じ側で噛んでいる
といった状態が確認できる場合には、一度相談してみるとよいでしょう。
治療方法
治療方法は、交叉咬合の原因や患者の年齢、部位・程度によって異なってきます。
小児矯正
成長期のお子さまでは、顎の成長や歯の生え変わりを利用した矯正治療が検討される場合があります。上顎の横幅が狭いケースや顎の成長方向の積極的誘導が必要な場合では、歯列の幅を広げる装置を使用したり、顎外装置(ヘッドギア)を使用することがあります。
ワイヤー矯正
従来の歯にブラケットとワイヤーを装着し、歯を適切な位置へ移動させる方法です。ワイヤーだけでなくゴムを上顎と下顎間にかけることで歯を細かくコントロールしやすく、さまざまな交叉咬合に対応できます。マウスピース矯正で対応できない症例でも対応できることが多いです。
マウスピース矯正
昨今では透明なマウスピースを段階的に交換していくマウスピース矯正が主流と言えるでしょう。目立ちにくく、取り外しができ、自分のペースで進めることが出来ます。
ただし、交叉咬合の程度や骨格的な問題の有無によっては、マウスピース矯正が適用できない場合もあるので、確認が必要です。
外科的矯正治療
骨格的な問題が大きく、通常の矯正治療や顎の誘導だけで改善が難しい場合には、顎の外科手術(いわゆる骨切り手術)を組み合わせた治療が検討されることがあります。
すべての交叉咬合で必要になるわけではなく、矯正と外科とで他科連携的に検査と診断を行い建てられた治療計画によって実行されます。
交叉咬合は自分で判断できる?
部位にもより確認が困難な場合もありますが、大抵の場合は鏡を見ることで「歯が反対に噛んでいる」ことに気づくことはできます。
しかし見た目だけでは、歯が原因なのか、顎の骨格が原因なのか。また一時的なものなのか、そもそも治療が必要なのかなどを判断することはできません。
そのため、気になる症状があれば歯科医院で歯並びだけでなく、顎の位置や噛み合わせなどを含めて確認してもらうことが大切です。
まとめ
交叉咬合とは、上下の歯を噛み合わせたときに、一部の歯が通常とは反対の位置関係で噛み合っている状態です。
原因には、
・ 上顎と下顎の成長バランス
・ 歯の生える位置や傾き
・ 口腔習癖
・ 乳歯の早期喪失
・ 遺伝的・骨格的構造的な要因
などがあります。
交叉咬合があると、
・ 左右差が現れる
・ 片側で噛む癖がつく
・ 顎に負担がかかる
・ 歯がすり減る
・ 虫歯や歯周病のリスクが高くなる
などの問題につながる可能性があります。
特にお子さまの場合は、成長期だからこそ根本的解決を図る事が可能です。「この噛み合わせは大丈夫かな?」と感じたら、自己判断せず、歯科医院で一度チェックしてもらいましょう。
歯並びだけでなく、顎の成長や噛み合わせまで総合的に確認し、ご自身やお子さまに合った治療方法を選択することが大切です。
■ 他の記事を読む■
