開咬の原因と症状ってどういうものがあるの?
投稿日:2026年9月30日
カテゴリ:スタッフブログ
前歯を噛み合わせても隙間が空いていたり、前歯で食べ物を噛み切りにくいなどの自覚がある場合、「開咬(かいこう)」と呼ばれる噛み合わせであることが考えられます。
通常、口を閉じて上下の歯を噛み合わせると、上の歯と下の歯が適切に接触し、前から見ると重なって見えます。しかし開咬では、奥歯は噛み合っているのに前歯だけが閉じなかったり、反対に一部の奥歯が噛み合わなかったりすることがあります。
開咬は見た目だけの問題と思われることもありますが、その原因によっては矯正治療だけでなく、舌の使い方や口腔習癖などにも目を向ける必要があります。
今回は開咬の原因や症状、放置することで考えられる問題、治療方法について詳しくお話しようと思います。
開咬とは?
開咬とは、上下の歯を噛み合わせたときに、一部の歯が接触せず、上下の歯の間に隙間が残る状態です。多く見られるのが、前歯が噛み合わない「前歯部開咬」です。
それを例に挙げると、奥歯を噛み合わせても、上下の前歯の間に隙間ができている場合があります。この状態では前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなったり、発語に影響したりすることがあります。
また、開咬には歯の傾きや位置が原因となっている場合だけでなく、顎の骨格や口腔習癖が関係しているケースもあります。そのため原因を突き止め、治療を検討する際には、歯並びだけでなく、顎の状態や舌・口唇などの使い方まで含めて確認することが大切です。
開咬の主な原因
開咬が起こる原因はいくつかあり、さらに加えて歯の生え方や顎の成長発育、日常的に行われている悪習癖など、さまざまな要因が関係しています。
1.舌を前に出す癖
開咬の原因としてよく知られているのが「舌突出癖」と呼ばれるものです。
飲み込むときなどに舌を前方へ突き出すもので、乳児期の飲み込み方が残っていたりすると生じます。このように上下の前歯の間に舌を入れるような癖があると、前歯に継続的な力が加わります。
舌の力はそれほど大きくなくても、長期間にわたって繰り返されることで歯の位置に影響する場合があります。特に成長期の小児だと舌の位置や使い方が歯列の発達に関係することがあります。
2.指しゃぶり
子どもの開咬では、長期間の指しゃぶりが関係していることがあります。
指を上下の前歯の間に入れる状態が続くと、前歯に継続的な力が加わり、前歯が前方へ傾き、上下の前歯が噛み合わなくなったりします。
3.口呼吸
口呼吸する習慣があると、口のなかに空気を通すため舌の位置は下がるので筋力が低下します。それにより、歯を内側から押す舌の筋力と歯を外側から押す唇や頬の筋力のバランスが崩れてしまい、歯が前に押し出されていくようになります。特に成長期では、こうした口腔周囲の環境が歯並びや顎の発達に影響する場合があります。
この場合、口呼吸の原因を究明しないと根本的解決にならないこともあるので、鼻づまりなどの呼吸の問題や他の習慣なども含めて考える必要があります。
4.顎の骨格的な要因
開咬は、歯の位置だけではなく、上下の顎の関係性によって起こる場合もあります。下顎の成長発育の方向が理想的でない場合、開咬が生じてしまうことがあります。
このようなケースでは、単純に前歯を動かすだけでは十分な改善が難しいこともあり、骨格や成長状態を考慮した治療計画が必要になります。小児の時点であれば、成長方向を誘導する顎骨矯正を行うことで改善を見込めます。
開咬にはどのような症状がある?
開咬は、必ずしも症状を伴うわけではありません。そのため自分では気づかず、むしろそれが通常であるとして生活できている方もいます。なので歯科医院で初めて指摘されることもあります。代表的な症状には次のようなものがあります。
前歯で食べ物を噛み切りにくい
開咬では、上下の前歯が接触しないため、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなる場合があります。
例えば、
・ 麺類を前歯で噛み切りにくい
・ 野菜や肉などを噛み切りにくい
・ 前歯ではなく奥歯ばかり使って食べる
といった状態が見られることがあります。小児の場合、そういった食事が摂りにくいことから発覚することもあります。
発音しにくいことがある
上下の前歯の間に隙間があると、発音するときに空気が漏れやすくなることがあります。特に「サ行」など舌を上顎の前方に接地しての発音がしづらかったり構音障害が現れる場合があります。
ただ、歯と歯の間が離開していたり舌の筋力が影響する場合も似たような症状が起こります。
口が閉じにくい
開咬の程度によっては、リラックスした状態で唇を自然に閉じにくくなることがあります。
口を閉じるために周囲の筋肉へ力が入りやすくなったり、無意識に顎や口元に力を入れてしまったりすることもあります。
奥歯に負担が集中することがある
前歯が噛み合わない場合、食べ物を噛む際に奥歯を中心に使用することがあります。
その結果、奥歯に噛む力が集中し、歯のすり減りや詰め物・被せ物のトラブルにつながる可能性があります。
開咬を放置するとどうなる?
開咬の程度や原因によっては、長期間その状態が続くことでさまざまな問題につながる可能性があります。
噛む機能に影響する
噛み合わない部位があることで、開咬部位の歯としての機能が十分に発揮できず、食事のないことがあります。
顎や咀嚼筋への負担
噛み合わせのバランスが崩れていると、顎の動きや咀嚼筋の使い方にも影響することがあります。
場合によっては、顎の疲れや違和感などにつながることがあります。
ただし、開咬があるから必ず顎関節症になるわけではありません。顎関節症には、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、姿勢などさまざまな要因が関係しています。
虫歯や歯周病のリスク
開咬そのものが直接虫歯や歯周病を引き起こすわけではありません。
しかし、歯並びが複雑になっている場合や、口が閉じにくく口腔内が乾燥しやすい場合には、プラークが残りやすくなり、歯ぐきの炎症や虫歯のリスクが高まってしまうことがあります。
そのため、歯磨きなどのセルフケアを丁寧に行い、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことが大切です。
子どもの開咬の対処はお早めに
小児の時点で開咬が気になる場合には、早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。学童期での開咬は、幼児期の指しゃぶりや舌の癖などが影響しているケースがあるためです。
例えば、
・ 前歯が噛み合わない
・ 口を閉じるときに顎や唇に力が入る
・ 舌を前に出す癖がある
・ 指しゃぶりが長く続いた、または続いている
・ 口呼吸をしている
といった場合には、一度状態を確認してもらうとよいでしょう。ただし、すべての開咬に対して矯正治療を開始するわけではありません。原因や成長段階によっては、まず習癖の改善を行う場合もあります。
開咬の治療方法
開咬の治療方法は、原因や年齢、開咬の程度によって異なります。
矯正治療
歯の位置や傾きが原因となっている場合には、矯正治療によって歯を適切な位置へ移動させ、上下の歯が噛み合う状態を目指します。通常ならば状況に合わせてワイヤー矯正やマウスピース矯正などが選択されますが、開咬は歯の動きだけでなく舌の癖なども関係するため、矯正治療と併用して悪習癖の除去や舌や口唇のトレーニングなどを行います。
成長期のお子さまの場合、顎の成長や永久歯への生え変わりを考慮しながら治療を進めることがあります。また、舌の癖や口腔習癖が関係している場合には、矯正装置だけでなく、舌や口周りの筋肉の使い方を改善するためのトレーニングが行われることもあります。
骨格的な要因が大きく、通常の矯正治療だけでは十分な改善が難しい場合には、顎の手術を組み合わせた外科的矯正治療が検討されることがあります。これは一部の重度の症例で選択される方法であり、すべての開咬に必要となるわけではありません。
舌癖などの習慣へのアプローチ
開咬の原因となっている舌の使い方や口腔習癖を改善しないまま歯だけを動かしても、治療後に再び歯が動いてしまう可能性があります。
そのため、必要に応じて舌の位置や飲み込み方などを確認し、口腔周囲の筋肉を適切に使えるようにすることも重要です。
まとめ
開咬とは、上下の歯を噛み合わせたときに、一部の歯が接触せず、上下の歯の間に隙間ができている状態です。
特に前歯が噛み合わない前歯部開咬では、
・ 前歯で食べ物を噛み切りにくい
・ 発音・発語しにくい
・ 口を閉じにくい(口唇に力を入れないと閉じられない)
・ 噛み合う力が奥歯に偏る
などの問題につながる場合があります。
原因としては、
・ 舌を前に出す癖(舌突出癖)
・ 長期間の指しゃぶり
・ 口呼吸
・ 顎の骨格的な問題
・ 歯の生える方向や位置
などが考えられます。
特にお子さまの場合は、成長期の口腔習癖が歯並びに関係していることもあるため、早めに状態を確認することが大切です。「前歯が噛み合わない」「食べ物を前歯で噛み切れない」「子どもの前歯の隙間が気になる」といった訴えがある場合には、一度歯科医院で相談してみましょう。
歯並びだけを見るのではなく、噛み合わせや舌の動き、口腔習癖、顎の成長なども含めて状態を確認することが、開咬を適切に改善するための第一歩です。
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